村上朝日堂の面白さについて

村上朝日堂はいかにして鍛えられたか (新潮文庫)

村上朝日堂はいかにして鍛えられたか (新潮文庫)

村上朝日堂関連の本で初めて読んだ本です。はまりそうな予感で、2冊目に突入しています。他もこの「いかにして鍛えられたか」と似たようなものだとすると、基本的には村上朝日堂は村上春樹氏が身の回りに起きた出来事に対して、つらつらと愚痴というか文句というかなんやかんやを言うという感じです。でも、これが実に面白い。
何が面白いのだと聞かれると、言葉に詰まる。1つには、クリスプな語り口と飄々とした人柄を感じる表現にあると思う。しかし、この説明だけでは足りないです。きっと、小説とは違うリアリスティックさや、クールな視線が実によく世界を捉えていて、その物の見方が僕を惹きつけるんでしょう。
それともう一つこの本を読みながら思ったのは、この本と「すべらない話」には共通点があるということです。これは、Tweetしたものをそのまま載せるけど、捉え方や伝え方によって出来事はいくらでも面白くもつまらなくもなるということ。その2つにでてくる話は、実際にはそこまで奇跡的に稀有な体験ではない(稀有な体験である場合もあるけど)ことがほどんどだから。でもそれを、どう捉えてどう表現するかによってかなり様相を変える。
これはある種の才能であったり、それなりの鍛錬を必要とするものだろう。その鍛錬には、blogやtwitterって最適な気がしますよね。
そういえば、もう一つこの本の楽しみとして、本の中に出てくるエピソードが村上春樹氏の小説の中のエピソードに似てるいるのを発見するというのがあります。あ、もしかしてXXXという小説のXXXな場面を書く際に、この体験を思い出しながら書いたんじゃないか?とかですね。村上春樹好きにはもちろん、これまで村上春樹の小説にイマイチ面白さを感じれなかった人にもオススメです。