人間の土地

人間の土地 (新潮文庫)

人間の土地 (新潮文庫)

伊坂幸太郎の砂漠の中で引用されていたので、手に取った一冊。
刺さる言葉が時折出てくる。物語自体はあまり興味を持って読めなかったが、その時折出てくる刺さる言葉だけで読む価値がある本だと思う。刺さった箇所からいくつか引用。

今日の世界を把握するに、ぼくらは昨日の世界のために作られた言葉を用いてるわけだ。
過去の生活が、よりよく人間の性情に適するように思われるというのも、理由は、ただ過去の生活が、よりよくぼくらの用語にあてはまるからにほかならない。

人間であるということは、とりもなおさず責任を持つことだ。人間であるということは、自分には関係がないと思われるような不幸な出来事に対して忸怩たることだ。

たとえ、どんなにそれが小さかろうと、ぼくらが、自分たちの役割を認識したとき、はじめてぼくらは、幸福になりうる、そのときはじめて、ぼくらは平和に生き、平和に死ぬことができる、なぜかというに、生命に意味を与えるものは、また死にも意味を与えるはずだから。