21世紀の国富論

21世紀の国富論

21世紀の国富論

ROEを重要視しすぎるアメリカ流の経営手法に疑問を投げかけて、本来あるべき企業の目的とは、本来の企業経営の理念とはなにか?シリコンバレーを代表するベンチャーキャピタリストのひとりである著者の言葉は、今の経済状態を予見していたようにさえ感じさせます。

また、著者が2005年の秋から始めたバングラデシュでの新しい事業についても触れられています。PUC(パーペイシブ・ユビキタス・コミュニケーションズ)と著者が呼んでいる次世代のインターネットアーキテクチャを利用し、新たなコミュニケーション手法による遠隔教育と遠隔医療の構築が、その新しい事業のポイントであるそうです。どんなもんなのかよく分かりませんが、とにかく新しい技術を応用して、「学校や病院をつくるといった「器を作る」やりかたではなく(p.193)」、インターネットの利点を活かして教育と医療を施していくということでしょう。
そして、この事業ではBRACという世界最大のNGOと共同でプロジェクトを進めているのですが、このBRACというNGOについてネットでは余りよく調べられなかったのですが、グラミン銀行の大元という理解で良いのではないかなと思います。(いつか調べます)
シリコンバレーバングラデシュ、生活レベルの大きく違うこの2つの地域で、ある一方ではベンチャーキャピタリスト、もう一方では途上国支援と、一見まったく性格の違う事業を行っているようにも見えますが、根底にあるのは「安易な解決法を踏襲しない(p.196)」で、忘れてしまいがちな本来のあるべき姿、本来の目的を追い求めていく姿勢なのだと思います。