人を助けるとはどういうことか

人を助けるとはどういうことか 本当の「協力関係」をつくる7つの原則

人を助けるとはどういうことか 本当の「協力関係」をつくる7つの原則

キャリア論などで有名なエドガー・H・シャインの新刊です。「人を助ける」とはいっても、狭い意味で助けるということではなく、監訳者である組織行動論の専門家金井壽宏さんの言葉を借りれば、「相手の役に立つこと」を指しています。他の言い方をすれば、「支援」です。たとえば、上司が部下に仕事のやり方について教えることも「支援」だし、友人の相談に乗ることも「支援」でしょう。
このように考えれば、人間関係における多くの状況に存在する「支援」を取り扱ったこの本は、非常に貴重な本であると思います。
この本で印象に残ったことは、目の前で起きていることに対して公正に集中することの大切さを説いていることです。これは、相手の話を聞きながら解決策の仮説を、頭の中で思い浮かべることを禁じているということです。コンサルティングの基本などを書いた本では、基本的に仮説を立てて考えることを推奨しています。しかしこの本では、仮説を立てながら考えることで見失ってしまうものも重要な場合があるので、まずは公正に聞くべきで、反応する前に間を置いて判断を保留するべきだとしています。本当に相手にとって必要なものを見極めるために、まずは公正に相手を見るということです。
ということで、最近読んだ本の中でもかなり読み応えのある良書だなと感じたので、おすすめです!