Googleの慈善事業 Google.orgとゲイツ氏

Google.orgの創設役員Sheryl Sandberg氏のForbesでのインタビューがnikkei BPnetに載ってたので紹介するよ

Google.orgとは、Googleの慈善事業で、「積極的な慈善活動の実験」を自称しており、Googleの利益と株式の1%を投じている。
「世界の問題に革新と莫大なリソースを応用することで、いつかこの計画が世界全体への影響という点でGoogle自身を超えることを望んでいる」と創設者のラリー・ペイジ氏とサーゲイ・ブリン氏が語っているように、Google自身のソーシャルアントレプレナーシップを体現していく事業ということなんだと思う。

開発途上国の雇用創出と経済振興のために小企業を設立したり、カリフォルニア大学バークレー校やハーバード大学の研究者と協力して、ケニヤ西部での貧困と水質汚染による児童の死亡を防止する方法の研究を支援している。
(参考:Google、慈善プログラム「Google.org」を明らかにGoogle、フィランソロピーの取り組みを発表

Sheryl Sandberg氏のインタビューの中で印象深かったのは、「世界で約20億もの人々が1日2ドル以下で暮らしているのに、無関心でいられますか?」、「創造的になるための最善の方法は、ある種の枠組みを用意することです。私たちはリスクを恐れていません。私たちが求めているのは、「正しくやれば、世界が変わる」と言える計画です。」という二つの言葉。
こういうことを堂々と言える大人になりたいなと思うし、日本の経営者の方々や発言力のある方々にはこういうことを言ってほしいなと思う。
もちろん日本の企業だって、CSR的なことも含めていろんな社会貢献をしてる。
でも、それをもっと積極的にアピールして、世の中に社会貢献という意識を広めてほしいと思う。
社会貢献という意識を広めること自体が社会貢献という感じで。
自社のウェブサイトに活動報告が載ってるとかだけじゃなくてね。
社会貢献をすること自体も大切だけど、一人や一つの会社の行動が即効性を持つことは難しい。それよりも、そういった考えを広めてみんながそういう意識を持つように促せばもっと迅速な影響が期待できる。

この記事自体は1月25日のもので、ちょうど同じ日にMicrosoft会長のビル・ゲイツ氏がダボス会議で講演を行い、新しい資本主義システム構築の必要性を訴えたという記事が出ていた。
この講演では、富の偏在による現状の問題を訴え、政府やNPO、企業が協力して資本主義をよりよいシステムへと変革させる「Creative Capitalism(創造的な資本主義)」という考えを披露。
偶然にもGoogle.orgのSandberg氏と同様に"創造的"という言葉を使っている。

創造的な資本主義とはどのようなものなのだろう
ゲイツ氏は、「技術が社会の問題を解決し、何十億もの人々に貢献する……そう信じてきた。だが現実は、技術が経済的な需要がある場所にのみ行き渡り、技術にたどり着く術のない人々は、そうしたものとは無縁の生活を送っている。もしこのような人々の生活を変えたいのであれば、技術革新だけではなく、何か別のレベルの革新が必要なのではないか。」、「世界の先進地域が富の偏在を加速させ、一方で日々の生活費が1ドル未満で水や食料さえ満足に得られない人々がいる。純粋な資本主義では、人々が豊かになればより社会が豊かになり、人々が貧しくなれば停滞、やがてゼロへと向かう。われわれは豊かな人々と同様に、貧しい人々にも貢献するような道を見つけなければならない」

政府が主導で行うのではなく、これからはGoogle.orgのSandberg氏やゲイツ氏のように、信念や情念に突き動かされながらも現実のビジネス感覚をもって、社会貢献することが主流になっていくだろう。